最後の世界がきみの笑顔でありますように。
◆episode tie〜絆
「…………………。」
退院をして、あたしは、家族と一緒に家に帰って来た。
もちろん、こんな家も見た事無いし、この人達も知らない。
「お姉ちゃんの部屋、こっちだよ。」
そう言ってあたしの手を引くのは、確か妹の……。名前を思い出そうとしても出てこない。さっき聞いたのにな…。
「望だよ。本当に覚えて無いんだね…。」
そんなあたしに気付いてか名前を教えてくれた。望は、苦笑いを浮かべている。あたしと話すのも、何故かぎこちない。
「あ…えっと……望…。」
名前を呼ぶと、望は目を見開いていた。
「あ…ごめん。名前呼ばれるのは久しぶりだったから。」
「え………?」
姉妹なのに名前すら呼び合わない姉妹って…。
「あたし達、仲悪かったの?」
そう言うと、望は曖昧な顔をしていた。