最後の世界がきみの笑顔でありますように。


ジャー…


お母さんの洗い物の手伝いをしていると、不意にお母さんは手を止めた。



「お母さん?」



泡の付いた手を拭かずに、あたしに向き直る。



「幸…。記憶、まだ取り戻したいって思ってる?」



その言葉に無言で頷く。



「私は、思い出してほしくないわ。あなたが傷付く事を知ってるんだもの。」



望と同じ事を言っている。あたしが傷付く事…それって何なの…?



「あなたが傷付くくらいなら、私達の事は忘れられていても構わないわ。これから作っていけばいいのだから。」




お母さんの言ってる事が、半分理解出来て、半分理解出来ない。



どうして思い出させたくないんだろう…。



どうして………。まさか……目の事と関係があるんじゃ…。









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