最後の世界がきみの笑顔でありますように。
「ありがとう……。」
皆、あたしに何かを隠している。あたしは…物凄く大事な事を忘れてしまったんじゃ………。
「漣…………。」
ギュッ
「さ…かは…ら……?」
突然、坂原に抱きしめられる。驚いて固まっていると、抱きしめる腕に力が入る。
「…漣……ごめん…。」
ごめん………。これは何に対してのごめん?
話せない事に対してのごめん…?。それとも話せない記憶に対してのごめん……?
坂原の顔を見たい。でも、抱きしめられていて顔を上げられない。
坂原………。どうして謝るの…?どうして震えてるの?
抱きしめる坂原の腕は、小さく震えている。
聞きたい事は沢山あるのに、聞けない…。坂原だけじゃない、家族もだ。
聞いてはいけない…聞かないで欲しい…。そう思っている事が、皆の顔を見ていれば分かったから……。
やっぱり自分で見つけるしか無いんだ……。
坂原…坂原が辛そうにしているのも、家族が悲しそうな顔をするのも…。
見たくは無いから……。
あたしはそっと、坂原の背中に手を回した。