最後の世界がきみの笑顔でありますように。
「お、お待たせ……。」
ニヤニヤと笑う家族に見送られながら、あたしは玄関の外で待つ陽に声をかけた。
背中を向けていた陽が、ゆっくりとこちらを振り返る。
「幸……さっきはごめ…………………。」
そう言って陽は固まったままあたしを見つめる。
「な、何!?」
慌てて自分の格好を確認する。
特におかしい所は…。無いはずなんだけどな。
「…変………?」
不安そうに陽を見上げる。陽はブンブンッと首を横に振る。
「じゃ、じゃあ………。」
何故あたしを凝視するの?
そう続けようとして止めた。否、言えなかった。
ギュッ
陽は無言であたしの手を握る。それに驚いて言葉が出なかったのだ。