最後の世界がきみの笑顔でありますように。


「お、お待たせ……。」



ニヤニヤと笑う家族に見送られながら、あたしは玄関の外で待つ陽に声をかけた。


背中を向けていた陽が、ゆっくりとこちらを振り返る。



「幸……さっきはごめ…………………。」



そう言って陽は固まったままあたしを見つめる。



「な、何!?」



慌てて自分の格好を確認する。


特におかしい所は…。無いはずなんだけどな。



「…変………?」



不安そうに陽を見上げる。陽はブンブンッと首を横に振る。



「じゃ、じゃあ………。」


何故あたしを凝視するの?
そう続けようとして止めた。否、言えなかった。



ギュッ

陽は無言であたしの手を握る。それに驚いて言葉が出なかったのだ。








< 208 / 318 >

この作品をシェア

pagetop