最後の世界がきみの笑顔でありますように。
「だから、幸とは中学生の時に会ってるって事!」
陽はそう言ってニッと笑う。あたし達は手を繋いで、歩きながら話をしていた。
「…全く覚えて無い…。」
中学生の記憶どころか、高校生の記憶さえあやふやだ。
でも…もしそれが本当なら…。少しでも陽の力になれたのかな…?
「ははっ…。まぁ二年くらい前の話だしな!覚えて無くて当然だし!」
そう言って陽は笑顔を浮かべる。その笑顔を見ていると、何だか申し訳ない気持ちになってくる。
「でも……あたしがその時の子だってどうして分かったの?」
そんな疑問をぶつけると、陽は陽気に笑う。
「入学式の時さ、俺すっぽかして川原に行ったんだよ。途中から行こうって思って時間つぶしてた。そしたらさ……同じ学校の制服着た幸がいた。あの時みたいに裸足で川の中入っててさ…一発で分かった。」
陽は懐かしむように、遠くを見つめている。
「でも…核心は無かったから、なんだかんだで話しかけられなくてさ。名前も知らなかったし…。今思えば、その時から…幸の事が好きだったのかもしれないな。」
陽はあたしを見つめて微笑む。愛おしそうに、あたしの頬を優しく撫でた。