最後の世界がきみの笑顔でありますように。
「好きだよ…幸。やっと見つけたんだ…幸を…。」
陽は足を止めてあたしを見つめる。あたしも自然と足を止めた。
「…陽……。」
陽に腕を引かれ、距離が縮まる。鼻先がぶつかった。そのままお互いに唇を重ねた。
「…んっ…………。」
花に囲まれて交わすキスは、今までのキスとは違った味がした。
短くも長くも無い、軽く触れるだけのキス。ゆっくり唇を離すと、恥ずかしそうに笑う陽の顔があった。
「なんか…いけない事してるみたいだ…。此処、植物園だし…。」
言われてハッとする。気付けば、遠足で来たのか、幼稚園達がじーっとあたし達を見ていた。
「…うぅっ……。」
純粋な瞳で興味津々に見つめられると、何だか恥ずかしい。
幼稚園に何てモノを見せてしまったのだろう…。
隣を見ると、陽も顔を真っ赤に染めて俯いている。あたし達は慌てて植物園を飛び出した。