最後の世界がきみの笑顔でありますように。


「お!ありがとう!」


さっきまで悩んでいたのが嘘みたいに、笑顔に変わる。



単純だな……。


陽を見ていると、なんだか目が離せない。あたしより沢山の表情をする陽が羨ましい…そう思う時さえある。



あたしには…出来ないから…。また笑えるようになったのも、陽のおかげだ…。


「本当…もらってばっかりだな…あたし…。」



陽はあたしに、沢山のモノをくれる。



笑顔、涙、愛、恋、幸せ…。



全てあなたがくれた。あたしはあなたに何かを返せるだろうか…。



「幸?」


心配そうにあたしを見つめる陽に、笑顔を返す。



「次は何処に行くの?」



「おう!次はご飯にしよう?何だかんだで腹空かない?」



陽に言われて気付く。もうお昼の時間だ。



コクンと頷くと、陽はあたしの手を引いた。



「ほら、行こう!」



陽は笑顔であたしの手を引く。その笑顔を目に焼き付けた。



陽の笑顔を忘れないように…。心に強く刻む。



真っ暗になっても…あなたの笑顔だけは…思い出せるように…。









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