最後の世界がきみの笑顔でありますように。
「せ、先生……。」
「………うん?」
あたしは、ずっと不安だった事があった。
それは、もっと先の話しなんだと思う。それでも、聞いておきたかった。
「…失明しても…子供は生めますか?育てていけますか…?」
あたしの質問に、先生は目を見開いている。
それもそうだろう…。高校生の口から、こんな事を言われるなんて…誰にも予想出来ない。
「…幸ちゃん。確かに…失明して子供を育てるのは、並大抵な覚悟じゃ絶対に出来ない。でも、失明した患者さんの中にも、子供を育てている人はいる。だから心配しなくて大丈夫。」
そう言って穏やかに笑う。先生の笑顔に、あたしはホッとして息を吐いた。
「…でも、見えない中で子供を育てるのは大変だし、覚悟が必要だ。その事を忘れてはいけないよ。」
先生の言葉に、あたしは強く頷いた。
「はい…ありがとうございます。」
あたしの未来が、少し明るくなった気がした。
あたしは先生にお礼をして、病院を出た。