最後の世界がきみの笑顔でありますように。



ガラガラガラッ



「おっ幸!こっち!」


陽は窓際の席に座りながら手を上げる。



あたしも笑顔を浮かべて近付いた。



「早いね。」


「今日は宮先の帰りのショートルームが早く終わったんだよ。」



陽は笑顔で言う。宮先とは、陽のクラス担任の宮滝 忍(ミヤタキ シノブ)先生のあだ名だ。



「そうだったんだ。」



あたしは笑顔を浮かべる。不思議な事に、さっきみたいに涙が出ない。



「幸、話しがあるんでしょ?此処座んなよ!」



自信の隣の席をポンポンと叩く陽に、あたしは黙って首を振る。



「すぐに終わるから。」



そう言ってあたしは、陽を見つめた。



いつもと違うあたしに気付いたのか、陽は笑顔を消して真剣な顔になった。










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