最後の世界がきみの笑顔でありますように。


「陽…。あたし、前まではずっと一人で生きていくんだって思ってた。」



誰とも関わらず…一人で…。



「そうすれば…自分が傷付かなくて済むから。だから、人を遠ざけてた。」



家族さえも遠ざけて…。



「でも…そんなあたしに、陽は何度も関わってきて、正直困惑してたの。」



関わりたくないのに…人の温もりに触れたいと思う自分に気付いてしまったから。



「…でも…陽は何度もあたしに歩み寄ってくれた。だから気付いたの、逃げてばっかりじゃいけないって…。」



向き合わないといけない。人とも病気とも…。



「陽が好きだって言ってくれる度…あたし…すごく幸せだった。」



「…幸……?どうした…?」


心配そうにあたしを陽は見上げる。



「…だからこそ…陽には幸せになってほしい。あたしは十分幸せだったから。」


本来なら…知る事が出来なかった幸せ。それをくれたのは陽だったから…。



「たから…陽、別れよう。」



あたしの言葉に、陽は目を見開く。



「何で…だよ……。意味分からない。」



「別れて。」



決意が揺らがないように、必死に服の袖を掴む。



「別れない。幸、俺は幸といたい。なのになんで…。」




「もう!!もう…いいよ…。あたしに付き合ってくれなくていい!!あたし…もう一人で大丈夫。陽がいなくても…平気だから!!無理しなくていい。」



あたしなんかより…もっといい人がいる。陽に無理させてまで…一緒にいたいなんて言わない…言えないよ…。











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