最後の世界がきみの笑顔でありますように。
「変な顔。」
その言葉に、あたしは男の子をキッと睨みつける。
「…失礼な人。」
あたしはそう言って顔を両手で覆う。どんなに無理しても、あたしが陽を忘れるのには時間がかかるみたいだ。
「あ、そういえば…あなた誰?」
あたしは覆っていた手を退けて、男の子に尋ねる。
「…今更かよ……。七瀬 京矢(ナナセ ケイヤ)…2年。」
「2年!?同学年かと…。」
大人っぽいし…。まぁ、外見が不良の塊のようだけれど…。
「あんたは?3年だろ?」
七瀬はあたしに視線を合わせるようにしゃがみ込む。
「先輩は?でしょ。」
「はいはい。先輩は?」
はいはいって……。ムカつくなぁ…。
「漣 幸…。」
「あんた、坂原先輩と別れんの?あんなイケメンの彼氏と…。」
七瀬の唐突な質問に、あたしは言葉を失う。
「…見てる限りだと…まだ忘れられてないみたいだけどな。」
「…それは…あなたに関係ない。」
あたしは立ち上がり、鞄を手に取る。出口に向かって歩き出した。
「無理に忘れる事ないだろ?」
七瀬の言葉に、あたしは足を止めた。
「…忘れなきゃ…辛いから…。」
それだけ言って、図書室を飛び出した。