最後の世界がきみの笑顔でありますように。
◆episode road〜道
陽と別れてから数日。冬休みまで残りわずかとなった冬の朝、あたしは一人の登校にやっと慣れてきたのを感じた。
いつもなら、陽がいたんだよね…。今では一人で登校出来ているのが不思議だ。
「…寒いな……。」
手にハァッと息を吹き掛ける。今では、あたしの手を温めてくれる人はいない。
マフラーに口を隠して、少しでも寒さを防ぐ。
あっという間に冬。この一年、本当に早かったな。
「幸ちゃーん!!」
後ろから名前を呼ばれて振り返ると、葉月が手を振って走り寄ってくる。
「おはよう。」
息を切らす葉月に、笑顔を浮かべながら挨拶をする。
「…はぁっ…おはよう幸ちゃん。」
葉月は笑顔を浮かべて、一緒に歩き出す。
「幸ちゃん最近元気になったね。」
葉月の言葉にあたしは笑う。
「ふふっ…元から元気だよ。」
「もう…じゃあそういう事でいいよ。」
葉月は困ったように笑う。
「あたしね…今出来る事を出来る限り頑張ってみようって思うんだ。」
葉月はうん、うんと頷きながら聞いてくれる。
「あたしに幸せを教えてくれた人がいるから。」
もう大丈夫…。こうやって少しずつ進んでいけばいい。
「…幸ちゃん……。あたしに協力出来る事があったら、いつでも言ってね。」
「ありがとう葉月。」
二人で話していると、いつの間にか学校に着いた。