最後の世界がきみの笑顔でありますように。
「………止めとけば?」
あたしとは目を合わせず、横を向いたまま七瀬は呟く。
「…えっ…?」
意味が分からず、あたしは七瀬を見つめた。
「…だから……坂原先輩なんか止めとけばって言ってんだよ…。」
七瀬の言葉に、ズキンと心臓が嫌な音を立てる。
「忘れて新しく作ればいいだろ…?」
忘れて…新しく……。
「失明するまで時間ないってのに…何で前の男ずっと想ってんだよ……。」
前の男……。陽は…もうあたしの彼氏じゃ無いんだよね…。
「見てて…痛々しいんだよ…。」
それでも……。好きなんだもん…。無意識で姿を探しちゃうくらい…。
「…好きなの………。」
目尻が熱くなる。こんなの…七瀬を困らせるだけなのに…。
ポンッ
泣くのを我慢していると、七瀬はあたしの頭に優しく手を乗せた。
「…七瀬………?」
七瀬を見つめると、七瀬は辛そうに眉間にシワを寄せていた。
どうして…?どうして七瀬が…辛そうな顔をしてるの…?
「………悪かった…。ただ…あんたが辛そうにしてっと…俺まで辛くなる。」
七瀬はあたしの頭を撫でる。今にも泣き出しそうなあたしを、労るように…。