最後の世界がきみの笑顔でありますように。
「…冬の川は少し寂しい。メダカもいないんだ。」
陽達と川へ遊びに来た時の事を思い出す。
楽しかったな…。柚ちゃんはメダカに夢中だったし。翼君や秋君は水のかけ合いなんかして…。
思い出すだけで、自然に笑みが零れる。
それで……陽が助けてくれたんだよね……。
あたしはぼーっと川を見つめていた。何分そうしていたのだろう。体も冷えてきた。
「望!そろそろ帰ろうか!」
川を見つめたまま声をかける。でも、返事が返ってこない。
「…望?どうしたの?」
そう言って振り返ろうとした瞬間ー…。
ギュッ
「…………えっ……。」
誰かに抱きしめられていた。あたしは恐くなってその手を振りほどこうとするがさらに強く抱きしめられる。
「……幸…。」
聞き覚えのある声に、あたしは抵抗を止めた。
嘘…。ありえない。どうしてこんな所に…?
「…ごめん……。」
掠れた声で謝る。あたしはこの人を知ってる。
「…陽………どうして?」
あたしは震える手で、あたしを抱きしめる陽の腕に触れた。
「幸の事見かけたから…追っかけて来た…。」
「…………望は……?」
「望ちゃんには、俺が送るって言ってある。」
陽はそう言って、あたしの肩に顎を乗せた。陽の吐息が、頬を掠める。