最後の世界がきみの笑顔でありますように。

◆episode world〜世界



「…お…ちゃ……」


声が聞こえる…。


「…ねぇ……ん…」


だんだんハッキリしてくる声。煩いなぁ…まだ眠い…。



「お姉ちゃん!!」


「わっ!」



望が耳元で叫んだせいで、飛び起きた。



「…おはよう……。」


耳を押さえながら、挨拶をする。



「おはよう。ご飯だって!ほら、手出して。」


「はぁーい…。ありがとう。」



あたしが手を出すと、望が引っ張ってくれた。



「…階段あるよ。」


「大丈夫。階段は見えるから。」



これ以上…視野狭窄が進んだら……。一人で階段も降りられなくなる。



「…望………。」


「ん?」



階段を降りながら、あたしは望に声をかけた。



「階段って…こんなに怖い物だったんだね…。」



今でさえ怖い。見えている範囲が狭いだけあって、落ちそうな感覚に陥る。



「…お姉ちゃん……。大丈夫だよ!何度だってあたしが支えるから!」



望の言葉に笑顔を返す。



「頼りにしてるよ…。」



前までは、妹に恨まれて…嫌われていたのに…。



今ではこんなに…通じ合えている…。



「…望がいてくれて…良かった……。」



「…お姉ちゃん…。あたしも…だよ…。」



笑顔を交わしてリビングのドアを開けると、お父さんとお母さんの笑顔があった。



こんな幸せな時間が…。ずっと続いてくれますように…。









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