最後の世界がきみの笑顔でありますように。



「………幸………。」


「…………ん?」



陽は笑顔で、あたしの首の後ろに腕を回した。



「…陽…っくすぐったいっ…。」



首の後ろで、陽はもぞもぞと手を動かしている。



「…我慢我慢!えーっと…。よし!」



陽は満足そうに笑顔を浮かべ、あたしをじっと見つめる。



「これで飛べるな…。」



陽の言葉で気付いた。あたしの首にかけられたペンダント…。それは…。



陽とあたしを繋ぐ、片翼のペンダントだった…。



「二人でなら…何処まででも……。」



あたしはそう言って、陽の首にかけられたペンダントに、自分のペンダントを合わせた。



片翼のペンダントが合わさり、完全な翼になる。


この翼は……きっと何処までも羽ばたける永遠の翼なんだ。



「…愛してる………幸…。」



陽の言葉は、魔法の言葉だ…。あたしを幸せにしてくれる…魔法の言葉。



涙は止まる事を知らなくて、止めどなく流れる。



その涙を、陽は何度も拭ってくれた。



「…幸は泣き虫だな…。」


陽はあたしの瞼にキスをする。もう泣かないようにと。



「…陽のせいだよっ…ぐすっ…あたしも……愛してるっ…。」



お互いに顔を寄せ合う。一瞬見つめ合い、ゆっくりと唇を重ねた。



『愛してる』


好きよりも大きくて…誰よりも愛しい人に伝える言葉。



だからあたしは…あなたに何度も伝える…。



『愛してる』







< 297 / 318 >

この作品をシェア

pagetop