最後の世界がきみの笑顔でありますように。
「………幸………。」
「…………ん?」
陽は笑顔で、あたしの首の後ろに腕を回した。
「…陽…っくすぐったいっ…。」
首の後ろで、陽はもぞもぞと手を動かしている。
「…我慢我慢!えーっと…。よし!」
陽は満足そうに笑顔を浮かべ、あたしをじっと見つめる。
「これで飛べるな…。」
陽の言葉で気付いた。あたしの首にかけられたペンダント…。それは…。
陽とあたしを繋ぐ、片翼のペンダントだった…。
「二人でなら…何処まででも……。」
あたしはそう言って、陽の首にかけられたペンダントに、自分のペンダントを合わせた。
片翼のペンダントが合わさり、完全な翼になる。
この翼は……きっと何処までも羽ばたける永遠の翼なんだ。
「…愛してる………幸…。」
陽の言葉は、魔法の言葉だ…。あたしを幸せにしてくれる…魔法の言葉。
涙は止まる事を知らなくて、止めどなく流れる。
その涙を、陽は何度も拭ってくれた。
「…幸は泣き虫だな…。」
陽はあたしの瞼にキスをする。もう泣かないようにと。
「…陽のせいだよっ…ぐすっ…あたしも……愛してるっ…。」
お互いに顔を寄せ合う。一瞬見つめ合い、ゆっくりと唇を重ねた。
『愛してる』
好きよりも大きくて…誰よりも愛しい人に伝える言葉。
だからあたしは…あなたに何度も伝える…。
『愛してる』