最後の世界がきみの笑顔でありますように。
「何言ってんだよ…。俺は何もしてねぇ…。」
七瀬のぶっきらぼうな言い方に、つい笑ってしまう。
「笑うな。」
ピンッ
「痛っ!」
額がジワジワと痛む。どうやら七瀬にでこぴんされたようだ。
「…もうっ………。」
おでこを押さえながら、小さく笑う。
「本当…ありがとう。七瀬、高校頑張って。」
「…あぁ…仕方ねぇから頑張るよ。面倒くさくなったら、図書室でサボるから心配すんな。」
七瀬はそう言ってあたしの頭をガシガシと撫でた。
「…幸せになれよ……。」
七瀬の言葉に、あたしは笑顔を浮かべる。
「…もう…幸せだよ…。七瀬こそ、幸せになって…。」
あたしは手探りで、七瀬の手に触れる。そのまま握った。
「支えてくれてありがとう…。」
「…だから、俺は何もしてねぇーよ…。ほら、そろそろ坂原先輩来るんだろ?早く行け。」
七瀬はあたしの背中を軽く押す。
『頑張れ』そう言われた気がした。
七瀬とも別れて、あたしは前に進む。
カツン…カツン…
これでお別れじゃない。いつだって会える。同じ空の下にいるのだから。
グイッ
「えっ!?」
急に腕を引かれた。その反動で白杖が手から滑り落ちる。