最後の世界がきみの笑顔でありますように。
「……よ、陽?」
そう言うと、腕を掴む誰かの手に力が入った。
「い、痛いっ…。」
陽………?
どうして?何も言ってくれないの?
捕まれた腕が痛い。どんどん前に進んでいく。
「……ねぇ!何なの!?」
その瞬間、捕まれていた腕が離された。
急に不安になる。白杖も無い、支えてくれ人もいない。世界でたった一人になったみたいだ。
「う、嘘っ!!あれヤバくない!?」
「危ないっ!!」
沢山の声が聞こえる。さらに不安が増した。
「な、何…?何なの??」
あたしは恐くて立ちすくむ。嫌……何…?
「……死んじゃえ。」
聞き覚えのある声が、あたしの耳に届いた瞬間ー…。
ドンッ
「……っ!?」
あたしの体は、誰かに突き飛ばされた。
全てがスローモーションに感じる。体が地面に着くまでの間に、愛しいあの人の声が聞こえた。
「幸っ!!」
バンッ!!キキーーッ!!
「…うぅっ………。」
あたしは頭を何かにぶつけた。その何かに触れると、ガードレールだった。
何で…?あたしこんな所に?
此処は道路なの?
「キャーーッ!!」
「きゅ、救急車呼べ!!」
あちこちから悲鳴や、サイレンの音が聞こえる。
何?何があったの…?