最後の世界がきみの笑顔でありますように。
「………ん……。」
目が覚めると自分のベッドとは違う感触と、独特な匂いがした。
「お姉ちゃん…。目、覚めた?体調は大丈夫?」
望の声だ…。望の言葉に、無言で頷く。
「目が覚めて良かったわ…。心配したのよ…?」
「疲労が原因で倒れたんだ。」
お父さんとお母さんの言葉に、あたしは俯く。
今のあたしには、陽の事以外何も考えられなかった。
「…お姉ちゃん……。」
望は、あたしの手を優しく握る。
「…………………。」
返事をせずに、ただ俯く。
陽……。陽に会いたい…。会いたいよ…。
陽…何処に行っちゃったの?
ガラガラガラー…
「「失礼します。」」
しばらくして、部屋に誰かが入って来た。
「幸ちゃん、倒れたって聞いて…。」
今にも泣き出しそうな葉月の声が聞こえる。
「…無理ばっかりしやがって………。」
優しく、労るような七瀬の声が聞こえた。
「…葉月………七瀬…?」
あたしの右手は葉月に、左手は七瀬に握られる。
「…幸…お前は一人じゃねぇ…。」
「私達もついてるから…。」
七瀬と葉月の言葉は、嬉しかった。でも……陽の事だけが、頭の中を支配していて心にまで届かない。
「……陽…は…?陽は傍にいてくれないの…?」
約束したじゃん…。傍にいるって…。ずっと…一緒だって……。