最後の世界がきみの笑顔でありますように。
そんなあたしの言葉に、二人は黙り込む。
「…ねぇ………。なんで教えてくれないの…?陽は何処っ!!!」
あたしは泣き叫ぶ。どんなに泣いても、どんなに叫んでも、胸の傷みが消える事は無かった。
あれから数日で、あたしは退院する事が出来た。病室には、葉月と七瀬が毎日来てくれた。
でも、そこに陽の姿は無い。だって…陽は……。
自分でも分かってる。一日一日を終える度、嫌でも気付かされる。
もう…陽はいない。
探しても絶対に見つけられない。ずっと遠くへ行ってしまったからー…。
「お姉ちゃん…寒くない?」
望はあたしの手を引いて、川原に連れて来た。
あたしが行きたいと頼んだのだ。
「…ありがとう………。大丈夫だから、しばらく一人して…。」
地面に腰を下ろす。望はあたしにマフラーを付けて、離れていった。
しばらく風を感じていた。まだ少し寒い風が、あたしの頬を乾かしていく。その頬を潤すかのように、涙が伝った。
「…陽……あたし……。これからどうやって生きていけばいいの…?」
真っ暗だったあたしの世界を、照らしてくれた太陽みたいな人。
首にかけられたペンダントに優しく触れる。
「もう…飛べなくなっちゃった……。」
片翼じゃ…何処にも行けない。あなたの所へさえ、飛んで行けない。
「…どうしてっ……あたしを一人にするの…。置いて行かないでよっ!!!」
ペンダントを強く握りしめ、叫んだ。
「何で…あたしを殺してくれなかったのっ!!」
…ー神様ー…
あなたは何でも奪っていくね?あたしの大事なモノ…全て……。