最後の世界がきみの笑顔でありますように。
ガバッ
「…よかった!!
事故にあったんじゃないかとか、気が気じゃなかったんだ。本当、無事でよかった!!」
坂原はあたしを抱きしめた。怒りもしないで…こんなに冷たくなっても、あたしを心配している。
「…………どうして…。帰らなかったの…。」
理由も分からずに涙が出てくる。雨が降っていてよかった。坂原に泣いてるところなんて見せたら、また心配させてしまうから。
「漣を待つって決めたから。」
あたしを抱きしめたまま坂原は答えた。
「……馬鹿……。何時間此処にいるの?」
「うーん。分かんない!」
笑いながら言う坂原を強く抱きしめ返す。こんなに冷たくなってまで…。
「傘は…?」
「最初は降ってなかったから持ってきてない!」
降ってなかって…。そんなに前から…。