最後の世界がきみの笑顔でありますように。
「…見えないよ。」
「……………え?」
顔は見えないけど、坂原の驚いている顔が想像出来た。
「見えないって……まさか………。」
その言葉に無言で頷いた。
「でも…今まで普通に本読んだり出来てたろ!?」
あたしの病気は少し説明が難しい病気だ。なんと伝えればいいのか…。
「あたしは、[網膜色素変性症]っていう目の病気なの。夜は暗くて全く見えなくなるし、昼は眩しすぎて見えづらくなる。少しずつ視界が狭くなっていって、最後には…………。」
そこまで言って恐くなる。改めて言うのはこんなに辛い事なのか……。言ってしまえば、それが事実だと認める事になってしまうから。あたしはもう一度深呼吸をした。
「……………失明する。」
あたしの言葉に返事は返ってこない。驚いてるのか、悲しんでるのか……。今のあたしには、何も分からない。だって……。何も見えないんだから。