トライアングル・LOVE
でも、もうきみは遅かった。
いまさら、どうすることもできやしない。

「じゃあ言うけど」

「うん」

「成田空港だよ」

「え?」

「今日、和尚がアメリカへ行くの」

「………そうなの…」

「結花。きみはケーキを食べたら、自分の家で待っててくれないか。帰りに寄るよ」



そう言って、ぼくはそっと部屋を出た。

そのあと、結花が、和尚が泣きながらつくった、大人と子どもの切り絵を発見することも予想せずに。
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