19番目の彼氏
リビングにやってきた美愛は俺に気まずいといった顔を向けた。



「…ごめんなさいっ!」


いきなり謝られた。


美愛の顔には涙がこぼれ落ちていた。



「…本当なんだね、美愛」


「…えっ……」


言ってないの?、という様に俺の顔をチラッと見た。


…きっと兄貴が知らないままだったら謝らないし、当然浮気を止めるつもりはなかったんだろう…。



「本当にごめんなさいっ!…お願いだから別れるとか言わないで…お願いっ!」

泣いて兄貴にすがる彼女はとても惨めだった。



…もう彼女が苦しんでいても可哀相とか助けたいとも思わない。




「…お願いっ、お願いだから……もうあいつとも縁をきるから…」


そう言って泣き崩れた。
< 74 / 120 >

この作品をシェア

pagetop