19番目の彼氏
「…そうだよ。前は…前は美愛の事好きだった。



「…だったらっ」


そう言って明るい笑顔を向けた美愛にイライラした。

…もうまるで俺自体¨モノ¨だな…。




「…だった…」



「……それって今はもう違うって事…?」



「ああ、もう帰れ」



そう言って俺は玄関のドアを閉めた。


―バタンッ




「…ぃやっ、隼人開けてっ!」



「…ドンドンドンッ」


しばらくして美愛の叫び声やドアを叩く音も鳴りやんだ。



「…美愛はもう帰った?」


「…ああ」


何も声をかける事ができなくて俺は自分の部屋へ行った。




「…はぁ……」


美愛は残酷だ。


今あんな事していたと美愛を知ってもまだ好きだと思う自分もいる。
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