19番目の彼氏
「おはよ」



「…おはよう…」


あたし達はいつも通り挨拶を交わして手を繋いで歩いた。



昨日は結局少しも眠れなくて寝不足だ。




そういえば…いつ聞こう…。

タイミングが分からない。



あたし達は本当に好き同士じゃない。


ただ好きでもない相手と手を繋いでいるだけ。



…あたし、何で隼人があたしに声をかけたのかすら聞けていない。







…お互い知らない事だらけ。


だから、恋人なのに友達未満なのかもしれない。



相手の事を深く干渉しようともしないし。





握っていた隼人の手は冷たくて、以前感じた温かさが嘘みたいだった。
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