youthful days~男女7人青春物語~
今しかないと思った。

彼女に話しかけるなら今しかないと、加藤は思った。

加藤は文庫本を閉じると、ルイがいる本棚の前に近づいた。

「何かお探しですか?」

そう聞いた加藤に、ルイが視線を向けてきた。

ドキドキとうるさく鳴っている心臓を押さえる。

彼女にこの音がバレませんように。

「遠藤周作さんの本を探しているんです」

それなら、今読んでいた本がそうだ。

加藤はルイの前に差し出した。

「あの…もし、よかったら…」

声が震えてしまったのは、かっこ悪い。
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