この恋は秘密
第11話 翔との握手で
こんな風に考えてくれる人、今までいなかった。
たった一人でも自分のことを理解してくれる人がいる……
そのことがこんなにも私を勇気づけてくれる。
私もバインダーを本棚に返し、座ろうとした時、翔のケータイが鳴った。
「はい、もしもし。……えっ?巻いてんの?分かった。すぐ戻ります」
翔がケータイをパチンと閉じ、勉強道具を急いでしまい始めた。
「悪い。思ったより進行が早くて、俺の撮りらしい」
脱いだジャケットを慌ただしく着て、「じゃ、また」と翔が手を振る。
そうだ!
私は玄関まで彼を追い駆けて、ハンカチを差し出した。
「まだ、持ってて」
翔は急いで靴を履くと、ドアノブに手を掛け、振り向いた。
「綾乃さん、明日も会ってくれる?」
「え?!あ、はい」
「良かった。じゃ、また明日。今日は楽しかった」
翔が差し出した手に私も手を差し出し、お互いに握手した。
そして、ドアが閉まり、慌ただしく翔が隣の部屋に駆け込む足音がした。
「すんません!遅くなりました!!」
翔の焦る声が聞こえて、何となく微笑ましかった。
笑いながら、口元に添えられた右手を改めてじっと見る。
翔と手を握っちゃった……
私は握手した右手をそっと左手で包むと、頬に当てた。
翔の手はとても大きくて、温かくて、少しだけ、大人の男の人の香水の匂いがした。
たった一人でも自分のことを理解してくれる人がいる……
そのことがこんなにも私を勇気づけてくれる。
私もバインダーを本棚に返し、座ろうとした時、翔のケータイが鳴った。
「はい、もしもし。……えっ?巻いてんの?分かった。すぐ戻ります」
翔がケータイをパチンと閉じ、勉強道具を急いでしまい始めた。
「悪い。思ったより進行が早くて、俺の撮りらしい」
脱いだジャケットを慌ただしく着て、「じゃ、また」と翔が手を振る。
そうだ!
私は玄関まで彼を追い駆けて、ハンカチを差し出した。
「まだ、持ってて」
翔は急いで靴を履くと、ドアノブに手を掛け、振り向いた。
「綾乃さん、明日も会ってくれる?」
「え?!あ、はい」
「良かった。じゃ、また明日。今日は楽しかった」
翔が差し出した手に私も手を差し出し、お互いに握手した。
そして、ドアが閉まり、慌ただしく翔が隣の部屋に駆け込む足音がした。
「すんません!遅くなりました!!」
翔の焦る声が聞こえて、何となく微笑ましかった。
笑いながら、口元に添えられた右手を改めてじっと見る。
翔と手を握っちゃった……
私は握手した右手をそっと左手で包むと、頬に当てた。
翔の手はとても大きくて、温かくて、少しだけ、大人の男の人の香水の匂いがした。