宿題するから利用して
あの子
「宿題見せて!」
学生時代を振り返れば、女子との会話はというと、情けないことに利用される時しかなかった。
「プリント写させて」
「テスト範囲どこっけ?」
「赤点課題やってー」
冴えない奴は頭さえ良ければ、異性から最低一日一回は話しかけていただける有り難い教室のルール。
恐らく中学生の頃からのしきたりだ。
そもそも、その他大勢の人間に意志を持つことは困難で、
内心見せたくなくても強制的にレンタル許可をせざるえない理不尽な掟。
そして、間違いなく高校一年生をしていた自分も都合の良い便利屋に当て嵌まっていた。