宿題するから利用して


運動場は学生らしい絶景で、卒業すると滅多なことがない限り踏めなくなる貴重な区域だ。

青春という敷地は現役の今頑張らないと取り戻すことはできない。


俺はひたすら高校生をしていた、だから――


「、っと俺、――その、塾あるから。……ごめん」


諦めたら終わりだと小学生の頃から飽きるほどに聞くではないか。

利用されたいから恋をしよう。
委員長の座を奪おう。
明日、田上結衣におはようと言おう。
自分からノートを貸そう。

どうせ業務連絡並な機械的にしかおはようと言われないし、

彼女は彼氏に義理立てするため、委員長に見せてもらうからと断られるのだろう。


――田上結衣が好きだ。
それでいいじゃないか。青春時代は田上結衣に恋をした、それは幸せ。

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