宿題するから利用して
昔のように「おーつか君」と、田上結衣の音で歌ってほしい。
しかし、彼女が離れていった理由は自業自得ってやつなのかもしれない。
秘かにため息をついた俺は、必要なかったプレゼントをしまった。
同じ教室に居ることが窮屈で廊下に飛び出た瞬間、鼻から喉の奥に張り付いたのは、どぎつい香水――
「あ! つっつん、放課後ヒマしてない? うちら暇人なんですよ」
「遊ぼーよ、つっつんカラオケ何歌う人ー?」
単純に考えたら、比較的派手な部類に入る女子生徒二人に話しかけられた。
ドア越しに背中へ乗っかるのは、あの子が奏でる可愛い歌。
この体は自分のものなのに、嬉しがる心を操るのはいつも田上結衣。