君は偽りのキスをして笑う


『あたし、もう男とか知らない。』

そう言った筈なのに。


高1の春。

「美亜、キスしていい?」
「…うん」


新しい彼氏ができていた。


まあ、一目惚れと言われて出会ってすぐ告白されて。


流れでオッケーしてしまった。

別に好きじゃないのに。


「好きだよ…美亜」
「広人…んっ」

あたしは好きじゃない。

告白されて、悪い気がしなかったから付き合ってるだけ。


いつでも、別れられる。

前の彼氏とは違う。


「美亜、可愛い」

キスの後、必ずそう言ってあたしの頭を撫でてくる。


今彼。

広人
ヒロト


そんなに、撫で回さないで。

「可愛いなぁ…」

はあ、疲れる。


しょっちゅうそんな事言われたら、もう嘘にしか聞こえなくなってくるよ。


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