君は偽りのキスをして笑う
キスをして
『彼氏と別れたあ…』
珍しく、美亜から電話がきたと思ったら急にそんな事を言われた。
別れたのか…
いや、てか。
彼氏いたのか…
男は当分いらないんじゃなかったのかよ。
「彼氏いた事すら、知らなかった」
『あー…言ってなかったけ?』
「うん」
すると、美亜は黙りこんでしまった。
なんとなく。
電話の向こうで美亜が泣いているような気がした。
「美亜、どこにいるの?」
『ん…今、駅前の公園』
「え…まじか。」
俺はすぐ近くの本屋にいたのだ。
『うん。どうして?』
「いや、別に」
そう言いながらも俺は本屋から出て、公園に足を進める。
なんで美亜の所に行こうと思ったのかは分からない。
でも…
気づいたら足が勝手に動いてたんだ。