君は偽りのキスをして笑う
『恋人同士みたいじゃない。』
…そう。
俺達は、彼氏彼女といった恋人同士ではない。
「まあ、いつもの事じゃん。」
『まあね。でも、随分ご無沙汰じゃない?他の女とでもヤったの?』
笑いながら美亜は言った。
「ばあか。俺みたいなんと無条件でヤる物好きは美亜くらいだよ。」
俺も笑いながら言った。
ピンポーン
「あ、誰か来た。ちょい待って」
俺は美亜との電話を切らずに玄関に出た。
ガチャ…
『「物好きで悪かったね」』
電話から、目の前から、同時に同じ声が聞こえた。