君は偽りのキスをして笑う


美亜は上半身だけを起こして、ムッとした顔を見せる。

「だからぁ…分かるでしょ?」
「…さあ」
「分かってるくせに」

美亜はムッとした顔のまま、俺の制服のブレザーのボタンに手をかける。


「こう…攻めか受けか、とかさ」

美亜は話しながら慣れた手つきで俺のブレザーのボタンを外していく。

「今。俺、完全に受けじゃね」
「だね」


フフッと笑って美亜は手を止める。

「悠哉」
「ん?」
「今日は受けがいいな」

何の躊躇いもなく、美亜が言うものだから。

俺は思わずふいてしまった。

「ぶはっ…」
「なんでよ、馬鹿にしないでよ。」
「いや、ごめんて。」


俺は口に手を当てて、美亜を宥める。


バフッ…


そして、美亜をベッドに押し倒す。

「あっ…」

突然の出来事に美亜は声が漏れていた。


…まだだ。

まだ、理性は飛ばしちゃいけない。


好きなのがバレてしまう。


バレちゃいけない理由…

それは…


< 5 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop