秘密のMelo♪y*番外編*
真裕フィーバー
―――……
「まーひろーっ!!」
「十一歳の娘の部屋に急に入ってこないでーッ!」
「い、いえす」
まったく、父様ってば…。
いつまでも子ども扱いされたらたまんない。
……子供じゃないかっていうとそのへんはまあ怪しいのだけど…。
「ではっ。藤峰真裕、いっきまぁーすっ」
「おう。いってこい」
「気を付けるのよー」
「は~い」
母様に(だけ)大きく手を振って、自分の身長には少し合わないくらいのバイオリンケースを肩にかけ、わっせわっせと背負って歩いた。
…今日は特別な日なんだ。
先生と一緒に……演奏ができる!
あたしの先生は、スタッディーノ巨匠といって、世界的にもすごく有名なマエストロ。
バイオリンの先生なんだけど、なんだかおじいちゃんみたいに思ってる。
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