秘密のMelo♪y*番外編*

いや、これは本当に。

素で人と付き合うことがなかった真裕が、あんなにもありのままで。

そしてそれを百パーセント受け止めてくれている楓くん。

それを知ったとき、彼にはあの子。あの子には彼しかいないと思った。


でもさー、なっかなかくっつかないからさー、じれったくてさー。

あの二人、あれで天才で有名だし?

親の私が言うのもなんだけど二人とも超美形じゃん?

いやーもう、どっちかが誰かにとられちまうんじゃないかと心配でさ。

ついね。

こういう行動に走っちゃったんだよね。


「あ…ではこれにサインいただけませんかね?」


「あら、婚姻届。…まあ、楓ったら承諾したんですか?」


「あ、いえ。騙して書かせました」


「おおっ。それは面白そうですな」


「知ったときの楓の反応、想像するだけで笑えるーっ」


ひでぇ親だなー。

息子騙されてんのになー。

加担してるどころか超楽しそー。


…あ、俺も一緒か。あっはっは!



…とまあ、和気あいあいに初対面は終わったのだ。

そのまま三人で届けを出し、そのあとで食事をして私はパリへといったん帰った…。



『…どうでもいいけど、あんたも向こうの親も、自分らの子供のこと散々な言いようね』


『なにを言うかね。謙遜に決まっているじゃないか。確かにあれは馬鹿だしドジだし間抜けだしよく言って天然だけど、可愛いもん。世界一可愛いもん』


『親バカ言ってるのかけちょんけちょんに言ってるのか分かんねぇわよ』


『話を戻そうキャロル。そしてすぐに私は――』


…そしてすぐに私は、ウィーンへと向かった。


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