秘密のMelo♪y*番外編*
それは幸いいい方向に向かったようで、喧嘩したり亀裂が入ったりすることなく二人は結婚を受け入れた。
ま、賭けだったんだ実は。
これでもし楓くんが拒否したりとかいうことになってたらもう最悪だったね。
でも私信じてたんだ。
彼はそんな男じゃない。
初めて会ったとき……彼は私の誘いを断って言った。
『真裕からもらった音楽とあいつ自身さえ俺の中で守り抜ければそれでいい』
その時の目。
かっこいいっていう言葉、こいつのためにあるんだなって思ったよ。
“俺の中で”っていうのがまたいいなと思った。
彼は分かっている上で言ったんだ。
あれは強い。
私や真琴…きっと楓くんの手でさえも、本来必要としていないだろう。
自分で立てる足を持っている。
波風に負けない芯を持っている。
本来、人の守りなどいらないのかもしれない。
…けれどどんな人間でも、人は時として“人”を必要とする。
彼は、そんなときにあれのそばにいてやりたいと思ってくれたんだろう。
もし“自分が”必要とされていなくとも、「俺がお前を必要としてるんだ」とそう言える器の広さ。
それゆえの言葉が、「俺の中で守れれば」なんだと思う。
…ま、あくまで私の推測だけど。
『ふーん…。いい息子もらったじゃない』
『ふふんそうだろううらやましいだろう。自慢の娘達だ』
『あーら今に見てなさい。うちのだっていい男になるわ? ちょっと待って婿にしなかったこと、きっと後悔するわよ』
『へっ。まだ十二じゃないか。圏外圏外。…てかアイツお前に似てるから、ヤーなやつになんぞ?』
『なんですってぇ?』
可愛いのはせいぜい今んトコが限界さ。ふっ。