遠距離恋愛:side 悠
待ち合わせは11時に駅の改札。
でも、俺はバカみたいだけど、30分も前に着いてしまった。
当たり前だけど、まだ奈瑠はいなくて。
俺は待ち合わせ場所が見える少し離れた位置に移動して、可愛い恋人を驚かすことにした。
でも、待ち合わせの時間になっても奈瑠は現れない。
少し不安になる。
待ち合わせから5分くらい経ったとき、走ってきた俺の恋人。
くるくると首を回して俺を探す奈瑠。
久しぶりに見るその姿はホントに可愛くて、俺は不覚にも泣きそうになった。
でも、遅刻して来たから少しだけ意地悪したくて、奈瑠に電話した。
3コールくらいで愛しい声が携帯越しに聞こえた。
『も、も…しもし?』
でも、その声は不安でいっぱいな声だった。
ごめん、少しだけ意地悪させて。
「奈瑠?…ホントごめん…今日仕事で逢えなくなった。」
「あ…そ、そうな…」
その声は明らかに震えてて、今にも泣き出しそうなのが声だけで分かった。
「そうなんだ…。残念だけど、お、お仕事頑張って…。」
『奈瑠、ホントごめんな。大丈夫?寂しくない?』
あぁ…俺ホント、何してるんだろ。
でも、奈瑠は俺のことがまだ好きって実感したかったんだ。