五里霧中
ある日自分と同じくらいの女の子を見かけた。
その子は赤い『ランドセル』を背負って嬉しそうに歩いてた。
お母さんとお父さんと手を繋いで、笑いながら歩いてた。
その時くらいから薄々感じ始めていた違和感。
どうしてアタシは外に出られないんだろう。
お母さんが出かけている時はドアノブを鎖でぐるぐる巻きにされてたし、お母さんがいる時に出ようとなんてしたら叩かれる。
どうあってもアタシはここから逃げられない。
いや、逃げちゃいけないんだって。
アタシは『失敗作』なんだって。