五里霧中



―――やっぱり降り出した。


取りこんだ洗濯物を横目に、窓の外の夕立に目を向ける。


お兄さんはあれでどこか抜けているところがあるから、注意しなくちゃいけない。



外はドシャ降りの雨だと言うのに、家の中はやけに閑散としている。


寒々しい景色に負けず劣らず、部屋の中には冷めた空気が漂っていた。


夏だって関係ない。


ボクの周りはいつだって凍りついている。


……そう、あの時からずっと。



冷たい水の底で膝を抱えているんだ―――。


< 139 / 351 >

この作品をシェア

pagetop