五里霧中
―――やっぱり降り出した。
取りこんだ洗濯物を横目に、窓の外の夕立に目を向ける。
お兄さんはあれでどこか抜けているところがあるから、注意しなくちゃいけない。
外はドシャ降りの雨だと言うのに、家の中はやけに閑散としている。
寒々しい景色に負けず劣らず、部屋の中には冷めた空気が漂っていた。
夏だって関係ない。
ボクの周りはいつだって凍りついている。
……そう、あの時からずっと。
冷たい水の底で膝を抱えているんだ―――。