五里霧中


―――5年前。


男の口から延々と吐き出される呪詛に、思わず耳を塞ぐ。


頭がどうにかなってしまいそうだ。


金槌で打ち砕かれた足はすでに感覚を失い、意識さえ朦朧としてくる。


もう痛みだって感じない。


ただ、気分が悪い。



誰か助けてくれ。


この地獄から、救い出してくれ。


そう祈りながらも、ボクは自分の命の終わりが近いことに気が付いていた。



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