五里霧中


「そろそろ覚悟はできているだろう?いい加減これで何度目だ。あの方が姿を見せてくださらないのは貴様のせいなのだぞ」


唾を撒き散らして叫ぶ男を精一杯睨みつける。


するとその目が気に入らなかったのか、男はまた金槌を持ち、ボクを押し倒した。


「てめぇ、なんだその目は。まだ痛めつけられてぇのか!」


先ほどまでの気取った態度を一変させ、ボクに殴りかかる。


容赦なく振り下ろされる金槌。


腕が粉砕されるのを感じながら悲鳴を上げると、男の攻撃はようやく止まった。



「大人しく言うコトを聞いてればいいんだよ、クソ餓鬼が」


異常なまでに膨れ上がった腕を無感動に踏みつけて、男は部屋を出ていった。



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