五里霧中



涙さえ零れ落ちない。


人間らしい感情は、この時すでに欠落していた。



何も感じない。


何も思わない。


ただ快楽のために生かされ続ける日々。


ボクは何のために生まれて、何のために生きているのか。


ボクを生んだ人は誰なのか、ボクを育てた人は誰なのか。



何もわからない。


そして、何も知りたくない。



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