五里霧中



物心がついたころにはここにいた。


毎日繰り返される暴力。


普通に学校に通っていた時期もあったけれど、最近は全く学校に通わせてもらっていない。


それどころか、日に日にあの人の暴力が酷くなっていっている気もする。


享楽に溺れ自我を失ったあの人は、もはや人間じゃない。


人の形をした化け物だ。


あれだけ冷酷に人を痛めつけることができるんだから。


きっと何かが欠けた欠陥品なんだろう。


……だからなのかもしれない。


あの人が欠陥品だから、ボクも不良品なのかもしれない。



あの人が無表情だから、ボクも無感動なんだ。


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