五里霧中
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「質問に質問で返すってどうなんですか」
「はい?」
回想から現実へ意識を引き戻し、あの時から疑問に思っていたことを言う。
お兄さんはなんのことだかわからないといった様子だ。
まぁ、当たり前か。
「いや、なんでもないです」
「そう?ならいいんだけどー」
だけどー、だけどー、そーなんだけどー。
お兄さんの変な歌を聞き流しながら、ボクはもう一度池を見下ろす。
「雨」
「うん?」
確か、今日は雨が降るらしい。