五里霧中



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隣で無表情に足元を見つめる妹。


そんな妹を見つめるオレ。


「……どうしたの?」


オレの視線に気付いたらしく、カイルが居心地が悪そうに顔をしかめた。


その表情の変化は微々たるものだったが、長年寄り添ってきたオレにはわかる。


「……足元ばっかり見てたら転ぶよ」


「……うるさい」


指摘されたことが気に食わなかったのか、カイルはさらに不機嫌そうに顔を歪めた。


カイルがどんぐりを見たいと言ったから出てきたものの……


“アイツ”からの盾がない外は危険だ。


ちゃんと目を光らせておかないと、後々後悔することになるだろう。


いつの時代も後悔は先に立たない。



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