五里霧中
いつも神社に向かうときと同じ坂を上って、しばらく雑木林を進んだところにその家はあった。
あの後引っ越したとは聞いていたが、引き取られる前とは比べ物にならない程小さな家だ。
父親と別れて財産のほとんどを失ったのだから、当たり前ではあるが。
拾った金属バットを手に、かのヒーローのように腕を振って歩く。
ここ最近ロクなものを口にしていなかったせいか、思うように頭が働かない。
脳裏をよぎるのはどれも危険なことばかり。
どうやって殺してやろう、とか。
殺した後はどこに埋めよう、とか。
何回殴ったら死ぬだろう、とか。
どうしたら限界まで痛めつけられるだろうか、なんてことも。