五里霧中
ふと気がつくと、鼻歌なんか口ずさんでいた。
これは確か……シャボン玉だ。
幼い頃はよく妹と二人で歌った。
両親に殴られた後、手を繋いで歌ったんだ。
『やねまでとんで、こわれてきえた』
彼女は覚えてるかなぁ。
覚えてるといいな。
だってあの歌はオレたちの軍歌も同然だから。
オレは決して壊れたりしない。
相手を壊してやるんだ。
そして、今度こそあの子を守る。
それだけがオレの生きる意味だから。