五里霧中
《対立の隣で》
すっかり見失った。
空の色が赤から藍に変わり始めると人の数は更に増え、彼らを探すことは砂漠の中から一粒の砂を見つけるように困難になった。
隣のリンはすっかり不機嫌そうに口を尖らしているし。
どうしたもんかなぁ。
「にぃに!いつまで歩くの?私の話も聞いてないし」
「ごめん、リン。でもあの子たちを見つけなきゃ」
「どうでもいいよ、そんなの!普段は二人っきりになれないんだからさ、ね?」
そう言うとリンはにっこり笑い、僕の手を引き、騒がしい通りから引き離す。
「そういえば、初めてだよね。にぃにと一緒にお祭り来るの」
通りとは打って変わって静かな境内に、リンが腰を下ろす。